HEART

「聖斗、コワッ!」

もう2人を見ても何とも思えない。…本当に、聖斗には幸せになって欲しいって思うから。

あたしはとっさに結の手を引っ張り、中庭へと逃げた。

「やった。脱出成功」

ピースサインをするとあたし達は顔を見合わせて抱きしめ合った。

「涙、本当明るくなったね。やっぱ先輩のおかげ?」

結の言葉に思わず恥ずかしくて顔が真っ赤になったから下を向いた。でも気づかれないけどね。

結の言葉の通り、あたしが普通になったのは先輩のおかげだ。

初恋を終わらせたあの日からずっとあたしの隣には先輩が居てくれたから痛みも無かったし。

「う…ん」

だから先輩ならきっと何時かあたしの感情を取り戻してくれると信じてる。

そう後に付け足して目を閉じた。

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