HEART
「な―に寝てんの?」
目を開くとふいに先輩の笑顔が見えて、不覚にもホッとしてしまった。あたしの小学生時代を知らないから、先輩は。
立ち上がってキョロキョロと辺りを見渡す。明らかに昼休みが終わっている事が分かった。
「先輩こそ、サボってるし」
冷たく言っても先輩の表情は全く変わらずに優しい笑顔を浮かべていた。
「ばーか。俺は保健室で寝てたから良いんだよ。今から帰るし」
「じゃああたしもサボる」
今結衣に会ったら。教室で何かを聞かれたらあたしは…壊れる。多分気付かれてしまうから。
はんば無理矢理に先輩の手を引っ張って学校を出た。