HEART
名前をメモするとマネージャーさんは水月先輩とインタビューへと向かった。あたしはその場に置き去りにされ…

「どうしよ」

有り得ないほど焦っていた。ふとテーブルの上を見ると、雑誌が有ったから手に取ってみてパラパラとページを捲る。

あるページに目が止まって動かしていた手を止めた。

『水月裕太の歌手になった理由』

とタイトルの付けられたページには水月先輩がどうやらこの雑誌で連載している奴らしい。

『自分を証明する為です。実は俺、小さい頃虐められてたんですよね…。親友を庇って。でも、泣いたりなんてしなかった。俺は親友の代わりなら頑張れた。今もそいつとは親友です。

『Q2.-初恋-』

『小さい頃幼なじみに笑わない女の子が居たんですね。俺その子がずっと好きでした。でもある日言っちゃったんです。

…"何でお前笑えないの?"って。

その日以来その子は居なくなって。実は今でも好きなんですよね』

この幼なじみはあたしだと確信した。覚えてて…くれたんだ。どんなに有名になってもあたしのことは…。

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