HEART
「8月12日、つまり今から3ヶ月後に涙さんはデビューが決定してる。…突然だけど作詞・作曲は出来る?」
ビックリした。仕事の話になると目つきが変わって話し方も"社長"って感じに変わった。
これが、この人の実力だと思う。
「はい。たまにやってるんで…。
…でもあたし…まだ自分の曲は歌いたくないです…」
社長がそんな事を聞く理由は一つしかない。きっとあたしにデビュー曲の作詞・作曲をして欲しいんだろう。
でも、いきなりメジャーデビューであたしの歌がそう簡単に世間に認められる訳が無いと思う。
だから…自分の曲は歌いたくなかった。
「そう。なら、光唄…貴方が楽曲を涙さんに提供してあげて」
「あぁ…まぁ良いですよ」
水月先輩は頷く。そしてあたしの顔をまじまじと見つめてまた元の場所に戻る。