偽りの結婚
「そうですね。貴方は昼も夜も忙しい身ですものね。けど、たまには食事の席に参加してもらいたいわ」
「僕が居なくて寂しかったのかな?シェイリーン」
エドワードとリエナが揃ってラルフの事を気にしていたため本人に伝えてみたが、当の本人は全く別の方向に捉えている。
「冗談言わないでください。お父様とお母様が、貴方があまりにも外出が多いから心配なさっているの」
偽りの関係だというのに、とことんそちらの方向へ持っていこうとするラルフに開いた口も塞がらない。
「そうか、それはマズイね。よし、じゃぁ明日は外出を控えることにするよ」
「そうしてください」
今日はやけに素直ね。
そんなに簡単に決められるなら最初から定期的に食事を共にしてほしいわ。
そもそも、ラルフはこんなに毎夜女性のところに通っているのにもかかわらず、なぜ相手が見つからないのかしら?
家柄も容姿も完璧なら選びたい放題だろうに。