偽りの結婚



「あの…恋人探しは順調なの?」


聞くのも気まずかったが、私にとっても重要なことであるため尋ねてみる。

するとラルフは目を丸くし、次の瞬間にはククッ…と耐え切れない笑みをこぼした。



な、なんで笑うのよッ!

私は真面目な話をしたのに。





「気楽に夜を共にできる女性ならたくさんいるかな」


まるで他人事のように話すラルフ。




「それじゃ駄目じゃない。私は貴方が相応しい相手を見つけてくれないと別れることが出来ないのだからしっかりとしてもらいたいわ」

「あはは…そうだね。頑張るよ」


私の駄目だしに適当に答えながら、ベッドに寄ってくるラルフ。




「それよりも、今日はやけに質問が多いね。よっぽど僕が気になるのかな?」


いつもより自分に興味を持って問いかける私にラルフはいつもの調子でふざける。

……が、いつもはふざけた後に、仮面夫婦だから自分に惚れるなだの何だの言ってくるが、今日は何かおかしい。





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