偽りの結婚
「ははっ…嫌そうな顔」
「だって嫌なんですもの。貴方がいない日はベッドに本を広げて悠々と読書ができますからね」
「読書の邪魔はしないから寝かせてくれ。今日は疲れた」
そう言うと、ベッドの上で本を読んでいる私の横に潜り込み眠り始めたラルフ。
「そんなっ……」
今日は眠れそうにないわ……
気持ちよさそうにベッドに寝転がるラルフを見ながら愕然とする。
前夜は自分が先に寝てからラルフがベッドに入ってきていたため、意識していなかったが、こうあからさまに隣で寝られると、おちおち横で眠ることはできない。
朝まで本を読んでいましょう…
しかし、そんな想いとは裏腹に、疲れた体がもたらす睡魔に勝つことはできず、結局ラルフが寝てから数時間後に意識を手放したのだった。
そして次の日の朝、辺りはまだ静かだというのに隣にはやはりラルフの姿はなかった。
朝が早いのは嘘ではなかったようだ…と思いながら、再び夢の中へと誘われた。