偽りの結婚
「大丈夫よ。それよりも、用事って何かしら?」
「明日グレイク侯爵が名家を集めた交流会にさそわれてね。是非夫婦で出席をしてほしいと言われた」
若干言いにくそうにしながら、話を切り出すラルフ。
「行かなきゃ、いけないですか?」
正直、大勢が集まる、しかも爵位が高い人々の集まりは苦手だった。
「あぁ、君がこう言った公式の場が苦手なことは知っているんだが、今回は断りきれなかった」
もともと、落ちぶれた伯爵家の娘だったのだ。
舞踏会でさえ緊張して疲労が溜まったというのに、ましてや上流階級の集まる公式の場などもっての外だった。
それを知っていたラルフは極力私を公式の場に連れていくのを控えていた。
それがまた王子と妃の不仲説にもつながってしまったのだけど…