偽りの結婚
それにしても……
ち、近い……
ラルフの顔が近くにあり、風邪とはまた別の赤みが顔にさす。
「あぁ、やっぱり熱があるみたいだな。モニカを呼んでこよう。いいか?このまま待っているんだよ」
ラルフが言いたいのは大人しく寝て待っていろ、と言うことだろう。
心配しなくとも体はだるく、ぼーっとしていて動く気にもなれない。
コクリと頷いたことに安心したのか、寝室を出てモニカを呼びに行った。
ラルフって意外と過保護だったのね…
王宮に来て以来、ラルフとこんなにも一緒の時間が長いのは初めてだから、新しい発見がたくさんあるわ。
そんなことを考えていると、モニカを連れたラルフが帰ってきた。
「シェイリーン様、大丈夫ですか?」
「あれから温かくはしていたが、熱が出てしまったようだ。もともと体調が悪かったのもあるのだろう、見てやってくれ」
ラルフとモニカの心配そうな瞳がこちらを見る。
「熱を計りますね。ちょっと失礼します」
そう言うと、私の来ていた服を肌蹴けさせ、体温を測るモニカ。
その行為に慌てたラルフは顔を赤らめ、視線を窓の外に向ける。
女性の肌など見慣れているだろうに…
「お風邪を引かれていますね」
モニカが肌蹴た私の服を直しながら痛々しい表情を向ける。