偽りの結婚
「いいか、絶対安静にしておくんだぞ」
ベッドの端に座りながら私の髪をすくラルフ。
なかなかその場から離れようとしない。
「わかって…ます…もう…公務に戻って……」
そんなラルフに痺れを切らし、安心させるように返事をした。
しかし、自分の髪をなでるラルフの手に段々と心地よい眠りに誘われ…
前日の睡眠不足もあり、だんだんと目を開けているのが辛くなる。
ラルフがちゃんと戻るのを見届けなければと思うのに。
「行くから、安心して寝なさい」
そんな私の想いは叶わず、ラルフの心地よい声を最後に意識がフツリと切れた。
苦しそうに眉を寄せながら寝る私に、しばらくよりそう者があったことを知らずに…