偽りの結婚
次に目を開けた時は窓の外は夜の帳が広がっていた。
まだ、ちょっと熱い…
体も重い……
真っ暗の部屋の中、窓の方に向いていた体を翻し寝返りをうつ。
夜目が聞いてきた頃、壁に掛けられた時計を見るとすでに12時を回っていた。
ふとサイドテーブルに何か置いてあることに気付く。
「すりおろした林檎と…薬……」
モニカが用意してくれたのかしら…
けれど、まだ食べられそうにない。
食欲がわかず再び窓の方へと体を向ける。
深夜の独特な静けさの中、思いだされるのは昼間の出来事。
湖に落ちた時、キラキラとした水面上から閉ざされ、真っ暗な世界に放り出されたような感覚だった。
まるで、現実世界から切り離されたような…自分の存在を否定されたような感覚。