偽りの結婚
なんでここにいるの…?
こんな夜更けに部屋を訪れたラルフを不思議に思った。
今日もどこかの令嬢のところへ行ったんじゃ…
てっきりラルフの事であるから今日も公務を終えて、令嬢たちの元へ行っているものとばかり思っていた。
「食べていないじゃないか」
私に触れる手はそのままに、全く手をつけていない食事を見たらしいラルフがポツリとつぶやく。
「そうすると、薬もか?」
ガサガサと薬の包みを開く音も聞こえる。
「はぁ…まったく」
これじゃ、治るものも治らない…と困ったように呟きながら、私の髪をなでるラルフ。