偽りの結婚
いつもなら木陰に座って本を読むところだけど、今日はいかなければならないところがあった。
ディランは青い瞳で私を見上げて「座らないの?」と言っているかのように見つめる。
「ごめんねディラン。今日はアリアのところへ行かなくちゃいけないの」
アリアとは幼いころから付き合いのあるノルマン家の令嬢だ。
ノルマン家は侯爵の爵位を持った国内でも有数の家。
伯爵家であるスターン家よりも爵位は上であるため、多々王族の開く催しに招待されている。