偽りの結婚
普段冷静なモニカがこのような姿を見せることはないので一瞬答えに躊躇う。
昨日は何か特別な事はなかったし…
ただのすりおろし林檎と薬だけだったわよね。
「林檎と薬でしょう?気付いたのだけど、食欲がなくて…」
期待をよせたような視線に、申し訳なさそうに答える。
あれはモニカが用意してくれたのではなかったのね。
もしそうならば、下げに来た時に食事を食べたか食べていないかで判断できるはずだ。
そうすると、誰が持ってきてくれたのだろうか…と不思議に思う。
「そうですか…って、それよりも!食事にも薬にも手をつけていないとすると、まだ熱が下がっていないかもしれませんね」
一瞬残念そうな声をあげたものの、すぐに自分の役割を思いだすモニカ。
先程は年相応な表情も見れたが、今は侍女長らしく私の世話をする献身的なモニカに戻っている。
「ちょっと、失礼いたします」
そう言って、モニカは額に手をあて体温を測る。