偽りの結婚
――キィー……
風の音と窓がガタガタと揺れる音が支配する中、突然部屋のドアが開く。
「っ!!」
突然ドアが開き、持っていたシーツを胸のあたりで固く握る。
「あぁ…起きていたんだね、シェイリーン」
私が起きていたことに一瞬驚いたラルフだったが、すぐさま笑顔になる。
「ラ、ラルフ。いきなり入ってこないでください」
悩みの種であるラルフ本人が現れたことに意表を突かれた。
なぜまたここに?
今日もずっと王宮にいたのかしら…
「君がまだ寝ていると思ったからノックしなかったんだ。驚かせたならすまない」
ベッドの横の椅子に座り、申し訳ないというような顔をする。
「……いいえ。それより今日はどうしたんですか?」
依然として優しいラルフに慣れず、返す言葉がどこか他人行儀になってしまう。