偽りの結婚
―――私はきっとラルフが……
その先は、心の中であっても続くことはなかった。
心の中でさえ想うことを禁じ、気持ちがあふれないように鼓動を打っている胸をギュっと押さえる。
この気持ちを認めるわけにはいかない。
私は偽りの妃なのだから……
自分の気持ちに気付いたとしても、この先ラルフとの関係が変わることはない。
否、変わってはならないのだ。
あの約束がある限り。
私達の関係が始まった瞬間から、終わることは分かっていた。
『離婚』
…それは、自らが出した条件。
自分から出した条件を違えることはあってはいけない。