偽りの結婚
5章 想いの果てに
初めての贈り物
―――チュン、チュンッ…
小鳥のさえずりが頭の端で聞こえる。
「んっ……」
カーテンの隙間から差し込む光に、だんだんと覚醒に向かう。
うっすらと目を開けると、見慣れた寝室の家具たちが目に入る。
そうだわ…私、昨日から寝室に帰ってきたんだっけ……
どこか寝ぼけた頭で考えながら、再び心地よい眠りに誘われた時―――
「………ん?」
布団の中で体を伸ばそうと身じろごうとしたが、何かに固定され動けない。
眠い目を開けるてみると、自分の腰にがっちりとまわされた逞しい腕。
そして、もう一方の腕は私の頭の下に潜り込んでいた。