偽りの結婚



「そう…なの……。二人が結ばれると、本当に小説に出てくる理想の恋人ね……」


消え入りそうな声で、どこか他人事のように呟く。






「そうね。私も二人は完璧カップルだと思うけれど、噂が本当だったらお妃様があまりにも可哀想だわ」


マリナのフォローも耳に入ってこない。





やっぱり完璧な二人が結ばれることが一番良いのよね。


ふとマリナが読んだ恋愛小説の話を思い出す。



一国の王子と他国のお姫様があらゆる障害を乗り越えて結ばれていく話―――


ラルフとソフィア様が障害をこえて結ばれていくカップルなら、障害は私ね。


自嘲気味に笑うが、その表情は苦しそうに歪んでいた。




なんでよりにも寄ってラルフを好きになったんだろう……



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