偽りの結婚
溢れる想いはとどまることを知らない。
偽りの妃だって、好きになる資格なんてないって、いつか別れる時がくるって、分かっていたはずじゃない。
何を今更後悔してるの…
それでもまだズキズキと痛む胸が指すのは、ラルフを好きな私の正直な気持ちだった。
その後、話題を変えてもどこか上の空。
自分が好きな冒険ものの小説の内容を楽しそうに話すマリナの声は私の耳に入ってこない。
大好きな本の話をしているのに、頭の中はラルフとソフィアのことでいっぱいだった。
そんなことばかり考えていると、いつの間にかサロンは終わっており、マリナとまた会おうという約束をして別れた。
行きと同じ馬車に乗って帰った頃にはもう外は暗かった。