偽りの結婚
「それは……」
なぜラルフは私の事を気にするの?
私の事なんてどうでもいいじゃない。
貴方はソフィア様の事と幸せになるんでしょう?
なぜ早く私に別れを切り出してくれないの?
私は今この状態が辛いの…
そう、言いたい。
けど、面倒な女だと思われたくない。
それに、こんなことを感情に任せて言ってしまったら、私が貴方を好きなことが露見してしまいそうで怖いから。
「いいたくない、か」
黙ってしまった私に、ラルフは諦めたように呟く。
その顔には悲しそうな笑顔が浮かべられていた。
「ごめんなさい」
なぜラルフが悲しそうな顔をするのかが分からなかったが、少し罪悪感を感じた私は一言そう言った。