偽りの結婚
「ラルフ、ベルナルドさんに失礼よ」
ラルフとベルナルドの間で、終始会話を見守っていた私が口を開く。
ラルフったら、ベルナルドさん相手に何を誤解してるのかしら…
私から叱られたラルフは面白くなさそうに無視を決め込んでいる。
「ベルナルドさん、誕生日パーティーなのにすみませんでした」
一年に一回の特別な日に、パーティーの主役の気分を害すことなどあってはならない。
「あぁ、シェイリーンは気にしなくていいんだよ」
私が頭を下げて謝る姿に慌てて笑顔になるベルナルド。
大方ベルナルドの機嫌の悪そうな顔を見た私が自分のせいだと思いこんで謝る姿に焦ったのだろう。
「こちらこそすまなかった。あいつらには厳しく言っとくから」
あいつらとは、先程の男たちだろう。
「私なら気にしてませんから」
お家同士の事もあるだろうし、穏便にすませるのが一番良いわ。
ラルフが助けてくれたから、実際何もなかったのだし。
ノルマン家と男たちの家との間柄が悪くならないよう祈るばかりだ。