偽りの結婚



―――次の日


外は薄い雲が張り、太陽も隠れていた。

こんなにも雲が張って雨が降り出しそうな天候なのに、星空が見えるのかしら…



もしかして…中止……?



しかし、ラルフ曰く丘の上にある離宮は王宮からかなり離れた場所にあるため、そこは晴れているだろう…と。

学者たちまで使って天候を調べるなど、ソフィアの為にラルフがどれだけ尽くしているかがうかがえる。



ラルフの嬉しそうな顔を見て一瞬芽生えた意地悪な考えを後悔した。

中止と思って少し嬉しいだなんて。

嫉妬で自分がどんどん醜くなっていくのが分かる。

今までこんなにもドロドロとした感情が芽生えたことが無かっただけにショックを受けた。






「ソフィアが着いたようだね」


ソフィアを迎える為、王宮のエントランスで待つラルフが言う。

そして、モルト王国の王宮を思わせるような白亜の馬車で噂の姫はやってきた――――




< 291 / 561 >

この作品をシェア

pagetop