偽りの結婚




蝋燭の灯りはそのままに、借りてきた本はサイドテーブルに置いてベッドに入る。

シーンと静まり返った部屋に響くのは、強い雨と風の音。

そんな雨風の音に、眠らなければと思うが、目は冴えるばかりで…





眠れないまま数時間が経ったところで、恐れていた事態が起こった。





―――ピカッ……バリバリ……


「きゃっ!!」


空が一瞬光ったかと思ったら、次いで聞こえたドンと大地を揺るがすような大きな音が聞こえた。

それは、王宮に来て初めて体感した雷よりも大きいもので。

カーテンは閉めているものの、覆いきれない光が部屋に差し込む。

光の明るさや、雷が鳴ってから落ちるまでの時間の差からまさにこの場所が雷の中心だった。



雷の音にドクン、ドクンと嫌な心音を刻みながら、ベッドの上で丸まっていると―――




――――ピカッ……


「っ………!」



……バリバリバリ


二度目の雷が落ちた。

思い出されるのは、ディランと過ごした雷鳴鳴り響く夜。



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