偽りの結婚
木を裂くほどの威力をもった雷。
こわ…い………
雷が鳴る度にガタガタ震える体は抑えることができない。
私は体を起こし、自分の膝を抱くようにして身を縮める。
ふと、視界に入った青い生地。
ラルフのマント……
それを手繰り寄せ、ギュッと抱きしめる。
そして、マントを頭からすっぽりとかぶり、折り曲げた膝を抱えて頭を埋めた。
マントからはラルフの香りがして、まるでラルフから抱きしめられているような感覚で、一瞬雷の事を忘れられた。
けれど―――――――
――――ピカッ…ドンッ……
雷は止むことはなく、むしろどんどん感覚が短くなっているようだった。
「ぃゃ…ぁ……ふっ……」
握りしめた手を一層強くし、ただ耐えた。
ガタガタと震える体は抑えようもなく、こみ上げてくる涙が瞳に映った。
こわい……誰か………
ラルフっ………!