偽りの結婚
すすり泣く声がおさまった頃―――
再び距離をとり、私の顔を覗き込むラルフ。
「落ち着いたか?」
ラルフの問いに、弱々しくコクンと頷く。
しかし、体はまだカタカタと小刻みに震えている。
きっと顔色は真っ青で、極度の緊張からか体は冷え切っているだろう。
そんな私を見て、眉を寄せるラルフ。
「一人にしてすまなかった」
頬に手をあて、辛そうな表情で呟くラルフ。
「なんで…ここに……?」
それは先程から疑問に思っていたことで。
ラルフは本当なら今、離宮にいるはず…
その人物がなぜ目の前にいるのかが分からなかった。
「君が雷に怯えているんじゃないかと思ってね」
依然、堅い表情のままラルフは話す。