偽りの結婚
「…私の友達です。銀色の毛並みの狼でディランって言うんです」
「狼……まぁ、今は置いとくとしてだ。続けて」
案の定呆気にとられたラルフだったが、聞きたくてしょうがないという気持ちを抑えて先を促す。
「目の前で大きな木が引き裂かれる様にバラバラになったのを見てから怖くなって。雷が落ちる時の地響きや空気を振動させるあのバリバリという音を聞いたら身がすくんでしまうの」
そう言っている途中も体は震え、雷から自分を守るように体を抱きしめていた。
「そうだったのか。この王宮が雷で壊れる事はない…と言っても何の励ましにもならないな。君の場合は心理的な問題のようだから」
そう、私だって分かっている。
いくら雷が強かろうが、建物が壊れる事はないことを。
ましてやここは王族が住む王宮。
そこら辺の建物よりは頑丈に造られている。
けれど、そうだと分かっていても震えるこの体はどうにも出来なかった。