偽りの結婚
「嘘をつけ。その前からすすり泣いていたじゃないか」
「そっそんなことないです!」
真っ赤になって否定しても誰も信じる者はいないだろう。
ましてや相手はラルフ。
その瞳で見つめられると、何もかも見透かされそうで…
ほら、案の定ラルフにはバレバレだぞ、と目でモノを言っている。
いたなら声を掛けてくれれば良いのに…
「と、とにかく!私はこれまでも一人で耐えてきたんですから、大丈夫です」
ラルフと目も合わせずに俯いてそう言う。
「全く……。君が強情だと言うことを忘れていたよ」
観念したようにラルフは溜息を一つ吐き、頭を抱える。
そして、ラルフは強行手段に及んだ。