偽りの結婚



そして、横でラルフが動く気配がした。

ラルフがソフィアの元へ戻るため動いたのだと思った。


しかし、ラルフの足音は数歩歩いたところで止まる。





シャ――――

あっカーテン……

さすがに開いたままだと可哀想だと思ったのだろう。

そして再び戻ってくるラルフの足音が聞こえる。

この足音が遠ざかって行って、部屋を出ればラルフはソフィア様のところへ行く。




自分からソフィアのところへ戻ってと言ったくせに、これからまた一人で雷に耐えなければならない恐怖でいっぱいだった。

ドクンドクンと恐怖におののく自分の心音を聞きながらラルフの足音を追うが、ラルフの足音は遠ざかるどころか、どんどんこちらへ近づいて来た。

そして、その足音がすぐ後ろにやってきたかと思ったら、ベッドのスプリングがギシッと軋む。



ラルフの重みを受けて沈むベッドを感じ、後ろを振り返ると…



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