偽りの結婚
二人きりの一日
チュン、チュン―――
朝を知らせる小鳥たちの囀りが聞こえる。
「ん…っ……」
カーテンは閉められたままだったが、僅かにもれる光に、段々と覚醒していく。
小鳥の囀り…雷はもう止んだのね…
良かった…
心から安堵していると……
ふと、自分が何かを抱きしめていることに気付く。
嫌な予感を感じつつも、恐る恐る目を開けてみると――――
「っ…!!」
目の前には鍛え上げられたラルフの胸板。
自分の腰に回っている逞しい腕。
そして、あろうことか、自分の手もラルフの背中に回っていた。
っ!…私昨日布団をかぶって寝たはずよね?
な、なんで抱きついているの?