偽りの結婚
「さて、格式ばった話はここまでとしよう」
挨拶も早々に国王はにこやかに話を終わらせる。
会場にいる者も、今か今かとこの言葉を待っていたのか周りからは笑顔がこぼれる。
「今日、皆に集まってもらったのには理由がある」
もったいぶった言い方をする国王。
「実はここにおるラルフにそろそろ妃を…と思ってな」
途端、ざわざわと会場が色めき立つ。
イリアも壇上の方を見ながら目を輝かせている。
ラルフ王子の人気ぶりは本当のようね。
アリアの言ったことを信じていなかったわけではないが、この状況を見ては信じざるを得なかった。
「はは、我が息子は人気があるとみえる」
国王も王子の人気ぶりがうかがえて、ご機嫌のようだ。