偽りの結婚
「君が抵抗しないなら、もう容赦しない」
ラルフはそう言って、露わになった首筋に顔を寄せる。
「ぁっ…んっ……」
全身にビリッと電流が走った様な感覚に、弓なりに背を反る。
チリッと走った痛みは、ラルフがもたらしたもので。
熱くなったそこから、全身が火照ったように体温が上昇する。
ふわふわと、真綿にくるまれたような安心する感覚。
自分の声とは思えないほど艶のある声が出たことに戸惑いながらも、ラルフがもたらす熱に身を任せた。
しかし、その手はシーツを握りしめたまま。
ベッドの上ではラルフの背に回すことはなかった。
ソフィア様…ごめんなさい……
これが本当に最後。
熱に浮かされながらも、ちらちらと浮かぶのはソフィアの儚げな表情。
罪悪感を感じながらも、決意する。
ラルフが終わらせないのなら、私が終わらせる。
涙で濡れる瞳に確固たる意志を滲ませる。
さようなら、私の初恋。
私たちの関係は偽りだったけれど、この想いだけは真実だったわ…