偽りの結婚




「珍しいな、シェイリーンが僕の帰りを気にするなんて」


ラルフも自分の帰りを問われたことに驚きを隠せない様子だ。




「今日はソフィアを国境近くまで送って行った後、そのまま公務で土地の視察に行く。夜はそうだな…9時には帰ってこられると思うが?」

「そうですか…」


公務で忙しいラルフの帰りは殆どがそのような時間。

いつもと変わらぬ帰りの時間だということが分かり、ある決断をする。



ラルフとソフィア様の気持ちを知ってしまった今もうここにはいられない。

いちゃいけない…

それに…ラルフに愛されないままこの関係が染み付くのが嫌だった。

訝しげな表情をするラルフが口を開こうとした時。



コンッコンッ―――



「ラルフ様、シェイリーン様、お目覚めでしょうか?ソフィア様がお帰りになりますのでご支度をお願いいたします」


侍女がソフィアの帰国の知らせを持ってきた。

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