偽りの結婚




「すぐ行く」


ラルフは短く返して、ベッドを降りる。

あらわになるラルフの上半身から慌てて目を逸らした。

ベッドに入ったまま顔を赤くする私にラルフはクスッと笑う。




「今日はゆっくり休むといい。後でモニカを呼んでおくよ」

「ッ…大丈夫です。今日は一人ですごしたいんです」


こんな状態でモニカと顔を合わせるのは避けたい。

モニカが呼ばれれば、まずお風呂に入れさせられる。

しかも、数人の侍女たちに世話をされながら…

そうなれば、この体の隅々まで見られるわけで。

そんな恥ずかしい状況に耐えられるはずがなかった。




「それは構わないが、辛くないか?」


ラルフの問いに、ブンブンと思いっきり首を横に振る。



「分かった。じゃぁ、今日はここに誰も立ち入らないようにしておくよ」


私の反応にククッと笑いながら、了承するラルフ。


< 408 / 561 >

この作品をシェア

pagetop