偽りの結婚




「貴方こそどうしてここに?今日は体調が悪いと聞いていたから寝室にいると思っていたわ」


体調が悪いというのは多分ラルフが伝えたのだろう。

体が痛いだけで体調が悪いわけではなかったが、事細かに事情を説明されるよりは良かったのかもしれない。



しかし、どちらにせよこの状況がピンチなことに変わりはない。




「あ、あの…ちょっと体調が良くなったので、お庭に出て気分転換をしようと思って」


混乱する頭で必死に言い訳を絞り出す。

大丈夫…誰にもばれていないはず…

そのために、身一つで寝室を出たのだから。

皆に怪しまれないために、ショールの他は何も持たず出てきた。

もともとこの王宮に入る時、スターンの家から持ってきたものなどあまりなかったことが幸いしたのだ。




「そうだったの」


リエナは冷静な目で、私を見つめる。

ラルフの瞳より鮮やかなスカイブルーは、何もかも見透かしているようで。

表情が読めず手に嫌な汗が滲んだ。


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