偽りの結婚
「そうね、気分転換も必要よね?」
先程の張り詰めた空気を一掃するように、突然明るい声を上げるリエナ。
「外に出るのも良いかもしれないわ。侍女をつけた方が良いかしら?」
笑いかけるリエナの心は読めない。
「いいえ、一人で大丈夫です。我儘を言ってすみません」
ここで侍女を付けられてしまっては王宮を出る事は叶わない。
リエナの配慮を断るのは心苦しかったが、丁重に断った。
「気にしないで良いのよ。そう言うと思ったから」
私が断ることが予測で来ていたのか、リエナはただ微笑むだけで、気にした様子はない。
ふふっと笑うのを止め、再び口を開く。
「シェイリーンさん、これだけは貴方に言っておくわ」
その言葉に身を強張らせて固まる私にリエナは微笑む。