偽りの結婚
「私は貴方の味方よ?」
「え?」
ふわり、と意味ありげに微笑むリエナ。
そう…例えるなら、それは春の木漏れ日のように温かく、包まれるような微笑み。
まるで母親が子供に向けるような微笑みだった。
しかし、私は投げかけられた言葉の意味が分からずに疑問符を浮かべる。
やっぱり…リエナ様は気付いているんじゃ…
じっとリエナを見つめるも、やはり何を考えているか読めない。
「じゃぁ、私はこれで失礼するわ。サロンに招かれているのよ」
そう言って、先程のお茶目な笑顔を見せる。
「あっ…はい。行ってらっしゃいませ」
クルクルと言葉と表情が変わるリエナについて行くのがやっと。
結局、リエナの言葉の真意は分からなかった。
本当に読めないお人だわ…