偽りの結婚

非情と愛情





私が今立っている場所は懐かしい屋敷の前。


…のはずが、住み慣れていたはずの屋敷は様変わりしていた。




屋敷の外観は綺麗に外塗りされ、庭は花こそないものの綺麗に整えられていた。

はたしてこの家に何があったのだろうか、と言うほど変化を遂げたスターン家の屋敷がそこにはあった。



どうしよう…何も考えずに帰って来たけれど、お継母様とお義姉様は私を迎えてくれるのかしら…



ラルフとの結婚を無断で決めた上に、結婚式には呼んだが、来てくれなかった。


当然よね…お義姉様はラルフの事が好きだったんだから。




ふぅっと一息つくと、以前より立派になった扉を叩く。





コンッコンッ――


「………」


いないのかしら?



コンッコンッ――

もう一度叩いてみるが、何も反応がない。




最後にもう一度……


< 417 / 561 >

この作品をシェア

pagetop