偽りの結婚
非情と愛情
私が今立っている場所は懐かしい屋敷の前。
…のはずが、住み慣れていたはずの屋敷は様変わりしていた。
屋敷の外観は綺麗に外塗りされ、庭は花こそないものの綺麗に整えられていた。
はたしてこの家に何があったのだろうか、と言うほど変化を遂げたスターン家の屋敷がそこにはあった。
どうしよう…何も考えずに帰って来たけれど、お継母様とお義姉様は私を迎えてくれるのかしら…
ラルフとの結婚を無断で決めた上に、結婚式には呼んだが、来てくれなかった。
当然よね…お義姉様はラルフの事が好きだったんだから。
ふぅっと一息つくと、以前より立派になった扉を叩く。
コンッコンッ――
「………」
いないのかしら?
コンッコンッ――
もう一度叩いてみるが、何も反応がない。
最後にもう一度……