偽りの結婚
コンッ…「誰よ!しつこいわね!」
苛々としたヒステリックな声を上げながら、その人物は扉を思いっきり開く。
扉を開けたのは、姉妹なのに似ても似つかぬ義姉のイリアだった。
「お義姉様、お久しぶりです…」
いざイリアを目の前にすると、おろおろとして居た堪れない。
イリアは一瞬目を開いた後に、サッと侮辱を込めた視線をこちらに向ける。
「王子のお妃様が、うちに何の用かしら?」
皮肉が込められた言葉には、イリアの嫉妬と妬みが入り混じっていて。
顔は笑っているのに冷ややかな印象しかいだけない。
説明しなくては…私とラルフの事を…
「違うのお義姉様。ラルフとは…「ラルフ?王子を呼び捨てで呼ぶなんて良い御身分になったことね」
イリアの声が強くなったことにビクッと体を震わせる。
ラルフと呼び捨てにしてしまったことが、逆鱗に触れてしまったようだ。
イリアの表情に身をすくませていると…