偽りの結婚
途中、幾人かの冷ややかな視線を受けつつもダンスフロアについた。
王子の周りには既に人だかりが出来ており、またしても顔は見えなかった。
今は王子よりもダンスよ…
アリアにあれだけダンスレッスンを受けたのだから大丈夫出来るわ…
緊張でベルナルドの手をぎゅっと握ってしまう。
それを察したベルナルドは落ち着かせるように笑顔を向けてくれる。
「大丈夫最初はワルツからだ。アリアとあんなに練習してたじゃないか。きっと踊れるよ」
「はい…が、頑張ります」
たくさん練習したからこそ失敗できないというプレッシャーがある。
もはや王子の顔を拝むどころではなかった。
曲が始まり踊ることに集中する。