偽りの結婚
ただ、今日がいつもと違ったのはミランダの私に対する態度だ。
「イリア、そんなこと言わないの。シェイリーンは家族でしょう?」
いつもなら、イリアに便乗して責めの言葉が続くのに、今日は私を擁護するような言葉をかける。
やっぱり夢じゃないのね…
私を家族と言ってくれた。
“家族”という言葉に反応する。
それは私が欲してやまないものだったから。
幼くして母親を失い、父親も早くに亡くした私にとって、家族という存在がどれだけ掛け替えのないものかを知っていた。
だからこそ、身内であるミランダやイリアから冷たくされると、辛かったし、同じ血の流れていない自分は家族にはなれないのだと思った。
けれど、そんなミランダが、自分の事を家族だと言ってくれた。
それが素直に嬉しい…