偽りの結婚




「お母様!なんでこんな女をかばうの?私の想いを知っていて、ラルフ様と結婚して、のこのこと顔を見せるような女なんて家族じゃないわ!」


イリアと分かりあえるのはまだまだ先のようだ。

とにかく、事情を説明して誤解を解くのが先決ね。

私が口を開こうとすると、先にミランダが割って入る。



「シェイリーンだって実家に帰りたいときだってあるわ。すぐ王宮にもどるんだから、少しぐらい歓迎なさい」


お継母様は私がただ帰省したのだと思っているのね。

そう思うのが当然だといえば、当然だ。

誰も王宮から逃げ出してきたなど思わないだろうから。

その証拠に、ニコニコと笑うミランダは疑うことなくそう思っているようだし…



今なら言えるわ……

先程はイリアに向けられた冷たい目線に怖気づいて、ここに戻ってきたいとは言えなかった。

しかし、ミランダが自分のことを家族だと言ってくれたことが私を後押ししたのだった。





「いいえ、お継母様。帰省ではないんです」


すぅ…と息を吸い込み、意を決して口を開いた。




「……私とラルフ様は離婚しました」


敬称をつけてラルフの名を口にするのは久々だと思いながら、告白する。

今のお継母様なら、きっと分かってくださると思って告げた。




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