偽りの結婚



すると……




「貴方、何を言っているの?」


先程までニコニコと笑っていたミランダの顔からスッと笑顔が消える。




「私達の結婚は偽りの結婚だったんです。もともと私達の間には愛情なんてなくて…ある契約のもと、偽りの夫婦を演じていました。けれど、その契約が切れたので離婚したんです」


事実と嘘を混ぜながら話していく。

本当は契約が切れたわけではないが、もうラルフのカモフラージュをする必要もないし。

ましてや、私がラルフを好きになってしまって、その想いを切り離すために帰ってきたとは言えない。




そんな、私の話に一人満足そうに嫌らしい笑みを浮かべるイリア。



「やっぱりね。舞踏会で一度会っただけで結婚なんておかしかったのよ。しかも、こんなみすぼらしい子となんてねぇ…」


先程の激昂ぶりはどこへやら…

今はとても面白そうに笑っている。


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