偽りの結婚




「お前がラルフ様と離婚したら、どうやってこのスターン家を支えていくの?」

もはや、呼称が“シェイリーン”から“お前”になっていることから、いつものミランダだと言うことが窺えたが、私はそれよりもミランダが話した内容の方に気を取られた。





「それはどういう意味ですか?」


私とラルフの離婚が、なぜスターン家の存亡に関わるの?

訳が分からずに疑問が浮かぶ。




「いきなり何も言わずに結婚した貴方に代わって、結婚した時から、ラルフ様がスターン家の面倒を見てくださっていたのよ」


イリアがうっとりという表情をしていることから、ラルフがこの屋敷へ来ていたことが窺えた。



「ラルフがそんなことを?」


驚きすぎて、呼称がまた“ラルフ”になってしまったことに気づかない



屋敷や庭がこんなにも綺麗になっていたのはそう言うことだったのね。

けれど、これは面倒を見るというレベルのものじゃないわ。

きっと莫大なお金が動いているはず。

結婚の条件にはなかったのに、なぜラルフはそんなことを?

ラルフの意図がわからない…










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