偽りの結婚

「ええ、そうよ。けれど貴方がラルフ様と離婚したんなら、もう支援して下さらないかもしれないわ」


ふふっと面白そうに笑っているイリアは残念がっていない。

それは多分まだラルフの事を諦めていないから。

しかし、ミランダの反応は違った。




「冗談じゃない…」


体をわなわなと震わせ、静かに口を開いたかと思えば、次の瞬間それが一気に爆発した。




「伯爵家ふぜいの娘が王子と結婚出来たにもかかわらず、愛されなかったから離婚しました？体でも何でも使って繋ぎ止めておくくらいも出来ないのかしらね」


一気にまくし立てられた言葉は、私を侮辱するもので…

母親の口から出たとは思えない言葉に深く傷つく。



なんで…っ……さっき私を家族だと言ってくれたのに…

結局、私はお継母様やお義姉様の道具でしかないの？



そう…言いたくても、喉の奥に詰まって言葉が出てこない。

口に出すことが出来ないのは、ミランダやイリアにこれ以上嫌われるのが嫌だったから。





お継母様、お義姉様…私が貴方達の本当の家族になれる日はくるのでしょうか……