偽りの結婚
「お母様、こんな貧相な娘なんてラルフ様はお相手しないわよ」
イリアは私の全身をざっと見廻し、勝ち誇った様な笑みを浮かべる。
「あら、そうだったわね。やっぱりイリア、貴方と王子が結婚なさい。この子に出来たんだから貴方にも出来るわよ」
ミランダに救いの視線を向けるも、今や完全にいつものミランダに戻っており、イリアと同様の視線を返された。
「そうね。今度、王宮で開かれるパーティーがあったら近づいてみましょう。」
楽しそうに話すイリアとミランダに、シェイリーンは完全に蚊帳の外だった。
私にとってはラルフが自分の事を好きでなくとも、イリアがラルフに近づこうとも、そんなことは今問題ではない。
しかし……―――――
「お継母様…お義姉様……お願いです。私はもうこの家しか帰るところがないんです」
最後の願いを込めて、オズオズと口を開く。