偽りの結婚
5分間だっただろうか…曲自体は短いものだったのに、とても長く感じた。
「シェイリーン、とても上手だったよ。練習の甲斐があったね。」
「あ、ありがとうございます!」
社交界が長いベルナルドに褒められ、ぱっと笑顔になる。
シェイリーンの向けた笑顔に、何故か頬を赤らめているベルナルドに気付かず、続ける。
「…あの、私次の曲はお休みしますね。次の方が待っているようですし。」
視線をずらすと、ベルナルド待ちであろう女性たちが列をなしていた。
「そう…だな。では、また次の機会に。」
少し、残念そうな顔をしながらも承諾するベルナルド。
「はい。誘ってくださってありがとうございました。」
ベルナルドさん、本当に人気なのね。
あの人たちにベルナルドさんを返してあげなきゃ、後々面倒そう…
そう考えながら、会場を後にした。