偽りの結婚
「無理して言わなくても良いわ。大体察しはつくから」
眉を下げ、力なく微笑みながらアリアはそう言う。
変なところで妙に感の良いアリアの事だ。
ベルナルドの誕生パーティーの時に、すでに別れるかもしれないという話をしていたので、何となく気付いたのだろう。
けれど、アリアにははっきりと伝えなければと思った。
「私…ラルフと離婚したの」
正確には一方的に離婚を突き付けた形だったが、私の中ではもう離婚したということになっている。
「うん」
やはり気付いていたのか、アリアは顔色一つ崩さず冷静に頷いた。
「ラルフはソフィア様の事が好きで。ソフィア様もラルフが好きで…」
ただ静かに頷きながら話を聞いてくれるアリアに、私はゆっくりと話しだす。
「うん」
アリアの顔が少し険しくなる。
「想い合っている二人に偽りの妃は邪魔でしょう?だから私とラルフが離婚したらみんな幸せになれると思って離婚したの」