偽りの結婚




「好きな気持ちに、身分も外見も関係ないわ。誰にも止める事は出来ないし、止める権利もない」


それはきっと、アリアがいつもこんな風に優しく受け入れてくれるから。

私の気持ちを否定するわけでもなく、変に口をはさむこともない。


聞き上手の親友に、何度泣かされたことか…

普段は立場が逆なのに、こう言う時になると、アリアは頼もしかった。




「それでも…私は告白することはできなかった」


前にアリアから想いを告げてみてはどうかと言われた事を思い出す。



あの時、後悔のないようにと言われたけれど、私は今本当に後悔していないのかしら…

頭の中では割り切っているつもりだけれど、今こうしてラルフを想って涙を流しているということは後悔があるの?




「私は貴方がそれで納得しているなら良いわ」


アリアの言葉に更に押し黙って、考え込む。

そんな私を前にして、アリアは何とも言えない表情をする。




「今日は疲れているようだし休みましょう。もう、おば様達には知らせたの?」


静かになった時の私は考え込んでしまう癖があることを知っているアリア。


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