偽りの結婚




リエナに相手がいるなら連れてきなさい、と言われていたが、王宮には誰一人として連れて来た事がなかった。



そんな付き合いしかしていないものだから、ソフィアと婚約させられてしまったわけだが…

ソフィアは幼馴染みたいなもので、同じ境遇にあることから良き相談相手という存在。

そう言う意味では、唯一自分が傍にいる事を許した存在ともいえる。

しかし、ソフィアとの間にあるのはそれだけであり、男女の関係に発展することはなかった。

それに、ラルフはソフィアと結婚するわけにはいかない理由があった。

婚約破棄はその理由が関係している。



まぁ…これがなければシェイリーンに会うこともなかったのだがな…


今となっては、婚約破棄を知らせた時のリエナの非難の数々に耐えた甲斐があったというものだ。

それ程にシェイリーンが大切な存在になったのだから。





そう…あれは自分の婚約者決めと称して開かれた舞踏会の夜。






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