偽りの結婚




多くの貴族が集まる舞踏会では、王族なりの面倒な接待もあり…


最低限、有力貴族の令嬢とは必ず踊らなくてはならないし、それが終われば他の令嬢と踊らなければならない。

これも仕事だと割り切って踊っていたが、自分に向けられる視線と黄色い声に段々とうんざりしていた。



だから、ロイドを囮にして舞踏会から抜け出した。





そして、出逢った…シェイリーンに。





舞踏会から抜け出した庭で出会った彼女。

月下の光に照らされて、プラチナブロンドの髪と白い肌が幻想的な雰囲気を醸し出していた。

開かれた目はエメラルドがはめ込まれたように綺麗な瞳。



しかし、第一印象は“変な女”だった―――

自分もそうだが、王家主催の舞踏会を堂々と抜け出して、庭のベンチでうたた寝して。

年頃の令嬢にもかかわらず、将来の伴侶選びより本に興味があるなど、変な女以外の何者でもないだろう?

けれど、あの時はチャンスだと思った。

話している限り自分には興味がないみたいだったし、後腐れのない別れ方が出来そうな女だと。






そう、思ったが・・・時間が経つにつれて囚われていったのは自分の方で・・・・





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